東京で災害に強い場所はどこ?~首都直下型地震も間近?!~
目次
「災害に強い場所はどこですか?」
近年、よくお問合せを頂く質問の一つです。
昨今、メディアでは「南海トラフで●年以内に地震が起きる可能性が●●%」や、
「相模トラフで地震が起きる可能性が●%」と不安を更に煽る情報が行き交っています。
反対に、「東海地震も関東大地震も起きない!」と言う専門家が現れたりし、情報が錯綜しています。
専門家の間でさえ、意見が食い違っているのに、私たちが予測を立てるなんて不可能に近い。
ならば地震・災害に強い場所を選んでおくのは有効な手段と言えそうです。
そこで今回は“東京で災害に強いエリア”をご紹介!
東京都が公表している【地震に関する地域危険度測定調査】を元に見つけていきましょう。
地震に関する地域危険度測定調査とは?
東京都では、東京都災対策条例(当時は震災予防条例)に基づき、昭和50年11月に第1 回地域危険度を公表後、おおむね5年ごとに調査を行っています。今回は最新の第九回目の調査報告書をもとに、みていきましょう!
この調査は特定の地震を想定するのではなく、全ての町丁目の工学的基盤において、 同じ強さの地震が起きたと仮定し、以下の危険性を東京都内の町丁目ごとに測定し、相対的に5段階評価。
- 建物倒壊危険度(建物の危険性)
- 火災危険度(火災の発生による延焼の危険性)
- 総合危険度(上記2指標を合算し、災害時活動困難係数を乗じて、総合化したもの)
- 火災危険度(火災の発生による延焼の危険性)
- 建物倒壊危険度(建物の危険性)
危険度マップ
この調査では○○区○○町○丁目の地震リスクまで、細かく調べています。
ご自身のエリアが気になる方はここから虫眼鏡↓
マップをパッと見ただけで、城東エリアに危険度が高いエリアが集中していることがわかります。次いで城北エリア、二つと比べると明らかに少ないですがその後、城南エリアといった並びになっていますね。
東京 城東・城北エリア
総合危険度では、東京で最も危険とされたのは荒川区荒川6丁目でした。
荒川区や墨田区などは建物の倒壊と火災の危険度が極めて高い地域と言われています。
なぜなら、関東大震災で焼け出されたたくさんの人が住み着いたことに加えて、荒川が運んだ砂や泥でできた地盤故、地震に弱いとされています。特に詳細なマップから、環状7号線の両側及び隅田川と荒川沿いに危険度の高い地域が集まっているのが見て取れます。
墨田区にもランク5の町内が多く、京島2丁目は5番目、墨田3丁目は6番目、押上3丁目は9番目です。“建物倒壊危険度”のランキングでみると、1位が京島2丁目、2位が京島3丁目でした。葛飾区や足立区も荒川沿いを中心に危険度が高いとされた地域があります。
葛飾区では東四つ木3丁目や西新小岩5丁目などは、総合危険度がランク5です。
足立区でも関原2丁目などはランク5となっています。
江東区は、新しい建物が多く、区画が整理されている臨海部は危険度が低く、もともと市街地が形成されていた東側は比較的危険度が高くなっています。
北砂4丁目は総合危険度で8番目、北砂3丁目や東砂5丁目なども危険度は5です。
江戸川区は荒川流域を中心に地盤が軟らかいことなどから、比較的広範囲に危険度3から4の地域があり、小松川4丁目や西篠崎2丁目はランク5です。
東京 都心3区
総合危険度の低い区ベスト3は、1位 千代田区・2位 中央区・3位 港区と都心3区で占めています。皇居や国の政府機関などが集中しているこのエリアは東京のどこよりも開発がすすめられていることが大きな要因と考えられます。または、災害に強い地形だからこそそうした機関が集められているのかもしれません。
道路が広く、ビルやマンションなど鉄筋コンクリート造の建物が多く、地震危険度が低くなっています。
東京 城西・城南エリア
23区の西側や南側は、総合危険度が高くない地域は多いものの、環状7号の両側にあたる大田区や品川区は地盤が軟らかく、火災の危険度も高くなっている模様。
杉並区や中野区は台地で、地盤は固く揺れにくいため、建物倒壊危険度は低くなっている一方で、建物が密集していることなどから、火災の危険度が高い地域もあります。
杉並区高円寺北3丁目は火災危険度も総合危険度もランクは5です。この地域は戦後すぐに「闇市」が作られたため、その名残で建物が密集しているのだとか。
世田谷区や渋谷区は、危険度が1や2の地域が広くなっています。
ただ、一部では建物の密集による火災の危険度が高くなっています。
三軒茶屋駅に近い太子堂・三宿地区は、これまでの取り組みで燃えにくい地域が広がりましが、まだ太子堂5丁目は総合危険度のランクが4。北沢5丁目や祖師谷1丁目もランクは4です。
地盤が軟らかい大田区や品川区では、総合危険度のランクも高くなっています。
品川区も北側などは危険度ランクが低いいっぽう、南西側などはかなり高くなっています。
二葉3丁目は総合危険度のランクは5。
大井2丁目や4丁目、5丁目、7丁目は総合危険度のランクは4です。
戸越1丁目や2丁目、西大井2丁目~5丁目もランクは4です。
いずれの地域も区画が整理された幹線道路付近に反し、老朽化した建物が密集し、火災リスクを押し上げています。
東京 多摩地域
多摩地域は、比較的地盤が固く、23区東部のような木造住宅の密集もありません。
しかし、この地域は、道路網の整備が進んでいない地域も多く、被災地から救援場所までの時間が23区に比べてかかる、つまり、“災害時活動困難係数”が大きいという特徴も抱えています。
結論、どこが安全なの?
標高図中央の皇居(江戸城)のあたりから、西側には武蔵野台地という台地が広がっており、東側には河川が運んできた土砂が堆積した低地が広がっています。
災害に強いのは東京の中心・北西や西側・多摩地域
ここまで見てきた通り、災害に強いのは東京の中心・北西や西側・多摩地域と言えるでしょう。
大きなポイントとしては海や大きな河川にも接していないことで、津波や洪水の危険リスクが低い。
また、武蔵野台地上の良好な地盤の上にあるので、地震や液状化の危険性も低く、土砂災害の危険箇所も少ない傾向にあります。
臨海エリアは危険度低い?
危険度マップを見ると臨海エリアの危険度が低いとされているのに気付いたかと思います。
「海に接した埋め立て地なのにおかしい」と不思議に思った方も多いのではないでしょうか。実は、東京湾は入口が狭くなっているのに加えて、湾内が広がった地形なので、津波の危険性がそれ程高くなく、想定される津波の高さも最大で江東区の2.63mになっています。詳しく知はハザードマップをご覧ください。
災害ハザードマップ
国が関わった大きな開発のため、エリアを作る段階で1から防災を意識した街づくりを行っていることで、災害時活動困難係数が極めて低いこともこのエリアの総合危険レベルを下げる大きな一因となっています。
(政府が計画的に埋め立てをして作っエリアを、政府自ら危険だと言えないなんて言う方もいそうですが…)
危険地域は、23区の北部や東部・南部
逆に危険地域は、23区の北部や東部、南部にある区です。
・海や大きな河川に接し、更に全体的に標高が低い
→津波・高潮・洪水など水害の危険性が高い
・軟弱な地盤の場所が多い
→地震で揺れやすく、液状化する可能性も高い
・道路が狭く、古い木造住宅が密集している街が多い
→火災リスク・避難困難リスク
まとめ
ここでは大きくわけて、エリアごとの危険度をお伝えしましたが、リスクが高いエリアの中でも、安全な場所もあります。逆に、リスクが低いエリアの中でも危険度の高い町丁目が存在します。リスクが低いエリアでもほんの少しの距離で危険度の高い場所になったりします。
「こんな細かいところまで一つ一つ確認して部屋探しするなんて大変すぎる…」
そう思った方、ご安心下さい。東京暮らしに災害に強いエリアを探しているとお伝え頂ければ、ご要望に合わせて物件を提供します。
お問い合わせはこちら
時が経つほどいつかいつかと不安が大きくなる関東大震災。本当に起こるかどうかは誰にもわかりませんが、住む場所に気を付けるだけだと考えれば気が楽になりますね。
参考
災害ハザードマップ https://disaportal.gsi.go.jp/