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地域の魅力を引き出すアートによるまちづくりー神田エリアー

地域の魅力を引き出すアートによるまちづくりー神田エリアー公開日
2014.09.28

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東京へ転勤されてくる方の中には、アート好きの方も多くいらっしゃると思います。地元の方々より寄稿いただいている「おすすめの街」紹介。第6回目は、NPO法人アート&ソサイエティ研究センターのコミュニケーション・コーディネーターである原田美奈子さんの記事です。


 文化芸術の持つ創造性をまちづくりに活用しようとする動きが近年、さらに活発になっている。人びとが訪れ交わり、多彩な才能が刺激し合い、地域発展の力となる。そんなまちづくりを千代田区も目指しており、町会・商店会、教育・医療機関、事業者、NPO・NGO団体などと連携し、文化芸術の拠点となる場づくりを積極的に推進している。ここではアートを媒介として人々が交流する場や、情報の発信地として地域に根ざした施設を、外神田・神田駿河台・神田淡路町エリアに絞っていくつか紹介したい。

 

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 東京メトロ銀座線の末広町駅を背に路地を入って1分程歩くと巨大な楠(くすのき)が目に飛び込んでくる。続いて錬成公園の開放的な景観が広がる。芝生を敷き詰めた公園は地域住民や周辺オフィスワーカーの憩いの場として活用されている。そこに隣接して建つのが千代田区立錬成中学校の校舎を改修して2010年にオープンした「アーツ千代田3331」だ。

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青々と茂る楠。「アーツ千代田3331」のシンボルになっている。
訪れる人たちを大木が枝を広げて迎えてくれる。http://www.3331.jp/

 かつて教室として使用されていた部屋をギャラリーやオフィス、カフェとして改修。文化芸術に携わる様々な団体が入居し、作品の展示やアート関連の講座、ワークショプを開くなどの活動をしている。屋上にはオーガニック菜園があり、土に触れ、野菜の成長過程を楽しむなど、地域住民が生活の一部として利活用できるよう工夫を凝らしている。

 無料で利用できるスペースも提供しており、3階の奥に位置する「P+ARCHIVE CENTER(ピープラスアーカイブセンター)」(ROOM302)では国内外のアート・プロジェクトやパブリックアートに関する書籍や資料を収集し、整理、公開している。日本ではなかなか手にすることのできない海外のアート国際展資料をはじめ、洋書も充実しているのでアートやアーカイブに関心のある人は是非足を運んでみてほしい。

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「P+ARCHIVE」は「地域・社会と関わるアート活動」のアーカイブ・センター。
開館日時:木曜、金曜(13:00〜18:00) http://www.art-society.com/parchive/

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「P+ARCHIVE CENTER」(ROOM302)はレクチャールームとしても活用されている。
社会に深く関わるアート、「ソーシャリー・エンゲイジド・アート(Socially Engaged Art)」を
主題とした連続トーク・イベントなども開催
(主催:NPO法人アート&ソサイエティ研究センター)。
この秋、海外のSocially Engaged Artを日本で紹介する初の展覧会を開く。
(11/15〜28  ROOMB104にて)http://www.art-society.com/

 

 


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 2004年よりお茶の水エリアで開催されるアートの祭典「お茶の水アートピクニック」。地元商店会、町会、日本大学や明治大学の学生ボランティアなどが中心となり、お茶の水が持つ「場所」「時間」「資源」「人」を組み合わせた地域文化イベントを二日間にわたり開催する。路上のアートバザールやパフォーマーが繰り広げる大道芸。アーティストを講師に迎えるワークショップや似顔絵コンテストなど、毎年趣向を凝らしたイベントが実行委員会や地元ボランティアによって企画運営されている。

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 このイベントの一環として2012年より「公開空地アート・プロジェクト」がお茶の水周辺のオープンスペースを活用して開催されている。「公開空地アート・プロジェクト」は、まちの貴重なオープンスペース(公共空地・公開空地)を、若手アーティストに活動の発表の場として提供。アーティストが介入することで、普段はあまり活用されていない公共のオープンスペースを、より地域にとって文化的交流の場として活性化させることを目的としている。

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「お茶の水ピクニック×公開空地プロジェクト2012」:アーティスト志喜屋 徹によるアート・プロジェクト「ニコニコ来々ドーム」。黄色いビニール傘を使ってドーム型の彫刻をお茶の水のまちに出現させた。(企画・運営 NPO 法人アート&ソサイエティ研究センター)

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「公開空地プロジェクト2013:駅前ラブストーリー ロミオとジュリエット編」はお茶の水駅前広場を即興の舞台に仕立て、設置された二つのスピーカーから「ロミオ」と「ジュリエット」の台詞が流れる。道行く人びとに無理やりロミオとジュリエットを体感してもらうパフォーマンス。若手アーティスト関川耕平と栗原千亜紀による作品。(企画・運営 NPO 法人アート&ソサイエティ研究センター)

普段はただ通行する場でしかないまちのオープンスペースにアートという異分子が介在することで、非日常的な空間が誕生する。次はどんな若手アーティストが私たちの創造力を刺激してくれるのか注目したい。

 

 お茶の水にも屋上を地域住民に開放し、野菜や花の栽培を楽しめる場所がある。2012年にオープンした「ECOM駿河台(エコムスルガダイ)」だ。「ECOM」は環境(ECO)+コミュニケーション(COMMUNICATION)を表現しており、その名が示す通り、屋上庭園の他に四季折々の草花が観察できる前庭広場、有機食材を使ったメニューを提供するレストランなど、環境をテーマに地域住民と交流する場を提供している。

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 2階には展示や講座が開催できるスペースもあり、2013年の「お茶の水アートピクニック」ではアーティスト村山修二郎による植物で描く体験型ワークショップが開かれた。今年の「お茶の水アートピクニック」(10/11,12)でもアーティストを招いてワークショップを開催する予定だ。


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 お茶の水駅周辺にはニコライ堂や湯島聖堂といった風格のある歴史的建造物がある一方で、昨年の春に「御茶ノ水ソラシティ」が、坂を挟んだすぐ隣に「ワテラス」が誕生した。

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一見するとビジネスエリアと化してしまう感があるが、ワテラスはオフィスの他、アトリウム、レジデンス、学生マンション、商業施設やコミュニティ施設で構成されており、地域住民、学生、来街者が自由に活動し交流できるオープンスペースを提供している。広場では定期的に「ワテラスマルシェ」や「てづくり市」「ガレージセール」などのイベントが開催され、新旧の人びとが行き交い、交流できる仕組みづくりを進めている。

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ワテラス正面のオープンスペース。地域住民の憩の場だ。正面には保育園と病院が隣接し、子育ての環境も整っている。

 

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ワテラスのメインエントランスにそびえ立つ鴻池朋子のパブリックアート「Wild Things-Magic of Landscape 」2013 。鳥が翼を広げたような作品。太陽光を浴びると一層存在感を放つ。夜間はライトアップされる。

 お茶の水には歴史的建造物に加え、大学や専門学校が数多く存在する。総合病院などの医療施設も充実しており、文化的なたたずまいを残しながら、教育、医療、商業、住宅の調和のとれた地域といえる。ここに新旧の住民がいかに交流し、刺激し合い、新しい文化を創造していくか。

 働くことへの意識の変化に加え、私生活や精神面での満足を地域社会に求める動きは今後ますます増えると思われる。まちに暮らす人々の多様な価値観や生活意識を満たす上でも、創造性を刺激し、心に潤いやゆとりを与え、生活を豊かにしてくれる文化や芸術は、まちづくりを先導する地域住民の大きな力となりえるだろう。

 

 

【交通アクセス】

利用可能駅:御茶ノ水駅

利用可能路線:中央線、中央・総武線各停、東京メトロ丸の内線

 

秋葉原    2分        東京       4分        銀座       7分       

新宿       11分      池袋       13分      渋谷       16分

※掲載の所要時間は日中平常時
※乗り継ぎ・待ち合わせ、途中停車時間は含まれません
※時間帯により所要時間は異なります
※2014年9月調べ

 

 

【賃料相場】

ワンルーム           9.60万円

1LDK                   16.89万円

2LDK                   20.02万円

                           

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【寄稿者のご紹介】

NPO法人アート&ソサイエティ研究センター

http://www.art-society.com/


コミュニケーション・コーディネーター 

原田美奈子

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